歌舞伎役者か
先日、乗ったデミオのハンドリングがとても良かったので、調子に乗ってビアンテも試してみました。
MPVとプレマシーの間を埋めるモデルですね。
トヨタのノア/ヴォクシー、日産のセレナ、ホンダのステップワゴンあたりがライバルです。
ミニバンでも「Zoom-Zoom」と鼻歌交じりのハンドリングを味わうことが出来るのでしょうか?
●概要
今や月販2万台といわれるこの2リッタートールミニバン市場ですが、
ボンゴ無きマツダはMPVでは大きすぎる、プレマシーでは小さいというユーザーにぽっかり空いた市場でした。
そこに2リッターながら3ナンバーとし、クラス最大の室内空間を与えたのがこのビアンテです。
スタイル★★
フロントから見るとマツダらしく大きなブリスターフェンダーが与えられ、
ライトよりも上を絞り込むなど、
プロポーション自体はかなり大胆で見所のあるものです。
大きなマスを感じさせるフラットなフェンダーはほぼフラットで、
もはやブリスターフェンダーというよりボディと一体化しています。
その上にちょこんと別の小さいクルマを持ってきて載せたかのようなフロント部はダイナミックで安定感もあるものです。
ところが、この多岐に渡る煩雑なキャラクターラインが全てを台無しにしています。
プジョーやアウディ流にせっかく大きく取ったラジエターグリルも、無駄なバンパーでシングルフレームでなくなっています。
大きなエンブレムとボンネット先端のメッキのラインも「ごちゃごちゃ感」を増幅します。
この雄弁で押し出しの強いフロントを初めて見た時 「お前は歌舞伎役者か!」と思わず突っ込んでしまいました。
↑リアを横切るクリアのコンビネーションランプはエルグラっぽいです。サイドのありきたりなキャラクターラインも無駄ですね。
内装★★★
内装は外観ほど嫌じゃないです。
誰を乗せてもそんなに恥ずかしくはありません。
ちょっとデミオから借りてきたような小型車用みたいな形状のステアリングや、おにぎりのようなシフトレバー、おもちゃのように安っぽいブルーのメーター照明を除けば気になる所はありません。
プラスチックの質感はデミオ同様、もう少し何とかならないかとも思いますが、実用ワゴンにそこまで求めるのは酷と言うものです。
シートはたっぷりしていて座り心地もいいものです。
デザインもサーブ9-3のような曲線のアクセントラインが、外観と裏腹に柔らかな感じを演出しています。
エンジン★★★
151psの2リッター&5ATは1.6トンのボディを、しかし十分に加速させます。
4気筒としてはとても静かでスムーズなことも印象を良くしています。
決して快音を響かせるタイプではありませんが、ストレスもありません。
高速は試せませんでしたが、Cd値0.3というセダン並の空力ボディもあって、高速でもストレスの無い走りを発揮してくれそうです。
また、165psの2.3リッターもありますが、14ps差では住み分けが難しいでしょう。2.3はハイオク仕様になることも販売を抑えるかもしれません。
足回り★★★★
マツダ車のハイライトはやはりいつもこの部分です!
MPVも豪快に振り回せる驚きのハンドリングを見せてくれますが、
こちらはさらに軽快で澄んだ走りを披露してくれました。
引き締まっていて無駄な動きがまったく無いのです。
この手の背の高いボディの場合、鋭角な交差点や逆バンクなっている交差点など街中でも丁寧なステアリングワークを心がけないと、ボディがグラついたり、嫌なゆり戻しがくることがありますが、ビアンテはステアリングの感触もよく、足の前後のバランスも非常に良かったです。
また、しっかりした足は直線で片側だけギャップを拾っても平然としていられます。
この安定感は3ナンバーにしてまでトレッドを広げた甲斐があるというものです。
そのくせ乗り心地も良く、ちょっと大袈裟に言えば、うかつにも?
シトロエンのC4ピカソを感じてしまったほどです。
悔しいけど。
そうそう、唯一の不満はDSCの設定が無いことです。特にこの種のクルマに必要な装備だと思いますが。
総合評価★★★☆
けっこう気に入りました!
スタイリングがもう少しスッキリすれば4つ★です。
このサイズのミニバンの中では、走りの洗練性においてビアンテは一頭抜き出たと思います。
どうしてもこのクラスのミニバンを買わなくてはいけない状況(どんな状況や?)で、
世界からC4ピカソやルノー・カングー、デリカD5が無くなったら? オヤジはこのクルマを選びます。