現行のB8型のA4がデビューしたのは08年の3月です。
この時プラットフォームは2世代ぶりに一新されています。
いわゆるDセグですが、メルセデスのCやBMWの3と比べてボディサイズが大きいことも特徴です。
今回はベースグレードの2.0、FF&CVTの2.0TFSIに試乗してみました。
スタイル★★★☆
A4と言ってもいまやボディサイズはミドルクラス並みです。
全長4705mm×全幅1825mm×全高1440mmは、いわばクラウンあたりと同程度です。
アウディらしいグラスエリアの小ぶりなスタイルですが、流石に上級クラスのエレガントさを手に入れるまでには至っていません。
少し車高が高いこともあってずんぐりとしたジャガイモっぽさが出ちゃっています。
LEDで化粧はしていますがフォルムは隠せません。
スタイリッシュにいくならA5以上をということでしょう。
ちなみにCd.値は0.27と優秀ですね。
内装★★★☆
全長4705mm、全幅1825mmは旧型に比べてそれぞれ120mm、55mmの拡大。
しかも前軸の位置が154mm前進したことで、ホイールベースは先代より165mmも長い2810mmとなっていますからDセグとしては特にリアシートが広いですね。
トランク容量は480Lと同クラスのFR車よりずっと大容量です。
しかも6:4分割のトランクスルーが備わりほぼフラットになりますしフィニッシュもいいです。
インパネも相変わらず精度が高く緻密な凝縮感がありますが、ステアリングのデザインがずっと同じなのは印象を古くしています。
またスイッチ類が多過ぎて、結局は下を向いて操作しなければならないMMI(マルチメディアインターフェイス)の操作性にもやはり疑問が残ります。
エンジン・ミッション★★★★
2.0 TFSIの2リッターターボエンジンの最高出力は従来型1.8リッターの160psから180psへとパワフルになっています。
また自動車取得税と自動車重量税が50%減税されるエコカー減税対象車となっていて従来の1.8 TFSIより5万円しか高くなっていませんからお買い得感ありです。
パワーは十分です。どこからでもトルクフルで気持ちのいい加速をします。
Sモードを選べばシフトプログラムが変わりさらにパワフルになります。
またアイドリングストップも実に振動が少なく洗練されています。
価格差もありますがこのあたりはVWとの違いです。
またCVTも毎年洗練され国産とは比べ物にならないぐらいタイトなセットになっています。
つまりスムーズでありながらスリップ感が少ないです。
もちろんスポーティーに走るならクアトロに用意されるツインクラッチの7速Sトロの方がいいですが、街中を流すならこれでもいいかという気になります。
足回り★★★★☆
ここも驚きの部分です。
最近紹介したVWのパサートやボルボV60もいいなと思いましたが、比べるとやはりその凝縮感や濃密さでアウディが勝ります。
マイナーでさらに熟成されたようです。
Sラインと違ってハイトの高い50ということも乗り心地には良かったと思います。
荒れた路面もまるで国産のように気兼ねなく流せる一方、飛ばすとどんどん締まってきてビシッっとした塊としてダンゴ虫のように身を丸め(固め)ます。
これなら、オプションのアウディドライブセレクトは要らないかもしれません。
ただ欲をいえばクアトロは欲しいかも。直進性はいいですがFFモデルの場合、追い込んだ先の最後に少し不安な動きを伝えるのです。
クアトロにはこれがありません。
総評★★★★
久々にA4に乗ってその熟成ぶりに驚かされました。
はっきり言って今のCクラスが超古く感じます。
良く出来たアウディでいつも思うのは、ドライブしていると繊細な感覚の部分を刺激してくることです。
例えばエンジンは実に細かなビートを伝え、足回りやステアリングは繊細な収束を刻々と刻んできます。
つまりそれほどに造り込まれているということです。
前回乗ったボルボのV60もイイと思いましたが、これに乗るとボルボは随分端麗な感じがします。
A4は老舗のシャトーで十分に熟成された高級品の味わいです。
見た目はちょいブスですが、乗ると感度良好で素晴らしい。
けっこうお買い得で好きになってしまいそうです。
スペック:全長×全幅×全高=4705×1825×1440mm/ホイールベース=2810mm/車重=1560kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブターボ(180ps/4000-6000rpm、32.6kgm/1500-3900rpm)/価格=440万円
(※この記事は2012年4月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)