あのビートは帰ってきたのか?
今オーダーしても納期は来年と言います。
久々にバブル期のNSX並のバック オーダーを抱えた人気車ですね。
あまりの人気に販売店に試乗車さえ行き渡らなかったようで、なかなか乗れなかったのですが、
やっと乗れました。
ではでは、逝って^^みましょう!
スタイル★★★★★
ここは見事ですね。
最近のホンダの中では出色の出来ではないでしょうか。
軽の枠の中でよくぞここまでという感じです。
そういう意味ではピニンフ ァリーナを要したビートに通じるといえます。
フォルムはサイドのキャラクターラインが示す通りスポーツカーの文法に のっとって完全なるウェッジです。
アルミホイールは前後異径で、前が15 インチ、後ろが16インチというのもその印象を際立てます。
リアにマスを 集めたミッドシップらしいプロポーションになっています。
フロントは軽の幅を意識させないように、極度に薄い横長のヘッドライト とフラットなボンネットで幅広感を上手く演出しています。
この顔はビー トを意識させてくれますね。
ハイライトはリアです。
フロントと対照的に上部を台形に思い切り引き締 めて安定感を出しています。
センター出しのエキゾーストやレーシングカ ー張りにブラックアウトされたディフューザー処理の下部も安定感があり ます。
またエンジンフードに二筋のコブをつけたヘッドフェアリングもちょっと ノスタルジックな演出ですが、S660にスペシャリテな印象を与えるディテ ールとして機能しています。
実用車ではどうしちゃったの?という最近のホンダデザインですが、流石 にスポーツカーは外さないですね!全体にエッジが効いていて軽自動車と は思えない彫刻的な存在感を持っています。
内装★★★★
グレード展開は、ベーシックな「β」と装備充実の「α」の、2タイプで 試乗したのは「α」です。
脱着式ルーフを持つタルガトップですが取り外しは容易で、フロントのボ ンネット下に収納します。
リアに収納するシンプルな方式の方が楽ですが、そこはヘッドフェアリン グのスタイルとのバーターです。
ホンダとして最小となる35ミリ径のステアリングは質感が高く、ここでも軽 を意識させません。
ダッシュなどの質感にもかなり気が配られていて、フ ィットあたりよりも遥かに高級な質感を感じさせます。
メーターはSPORTモード選択時には照明が白から赤に変化します。
ポータブ ルナビは表示切り替えによって、左にGセンサー、右にブースト系とブレー キの踏力を示すメーターが付きます。
ポジションは素晴らしく低く、乗り降りは大変ですが、ドアを閉めるとこ れだけでやる気になります。
ただ車内に収納スペースはありません。
二人で乗るとカバンもパッセンジ ャーの膝の上です。
フロントフード内のユーティリティーボックスは、オ ープンにすると畳んだロールトップで満杯になるので使えません。
軽のミ ッドシップのタルガトップというのはある意味究極なのです。
エンジン★★★★
N-WGNベースの直3ターボエンジンは64psと10.6kgmを発生します。
6MTが良 かったのですが、試乗車はCVTでした。
年配のお客様も多く7割近くがMTを 選ぶそうです。
エンジンはなかなか低速から力があって活発な印象もあります。
サウンド は期待するほどの官能性はありませんが、悪くはありません。
低音でN-ONE などより質感は高いです。
リアには小さな小窓があり、フェラーリ458スパイダー張りにそこを開けて 空気の流れを整理するとともにサウンドを楽しむという仕掛けもあります が、現状では音はコペンの方が演出されています。
このあたりはアフターパーツを選ぶ楽しみも残されているとしましょう。
将来的には「Sound of Honda バージョンS660」というスマホアプリを使っ て「マクラーレン・ホンダMP4/5」や「NSX-R」の排気音にする計画もある ようです。
車重が軽いこともあって意外やCVTの加速効率も悪くありません。
CVTでも 十分楽しめます。
街中を少し早いペースで走るぐらいなら高回転を必要としません。
つまり そのぐらいのパワーはあります。
もちろん箱根の登りなどではパワー不足 は否めませんが、このクルマにそれを望むのは筋違いというものです。
足回り★★★★
ボディ剛性のしっかり感や乗り心地の良さもビートを彷彿とさせる部分です。
タルガなのでオープンにしても全くボディの印象は変わりません。
むしろ 音が抜けるので乗り心地の印象は良くなります。
決して硬すぎる事の無い上質な乗り心地です。
荒れた路面ではもう少しス トロークがあればと思う事もありましたが、それは後のハンドリングとの バーターでしょう。
ハンドリングもミッドシップらしくノーズが軽くシャープな回頭性を示します。
雨の日は少しナーバスになるかもしれませんが、実際には安定性の レベルは高いと思います。
演出としてステアリングとブレーキの剛性がもうワンランク上がればさら に高質でレーシーな印象を得る事が出来ると感じます。
総評★★★★
タイトルの“あのビートは帰ってきたのか?”ですが、結論としては一部 ではマルで一部ではバツです。
ビートは発売時に1週間ほど借りて乗っていたので、今でも記憶が体に残っ ています。
共通していたのはスタイルと乗り味の楽しさです。
ビートを現代版に昇華 したようなS660のスタイルと、軽のミッドシップとは思えぬほどの安定感 としっかりとした走りの部分。
これはビートと共通した美点です。
一方バツの部分ですが、これはある意味現代的な要件として仕方ないかも しれませんが、ビートが持っていた軽快感はありません。
アルトRSに感じ た軽快な走りはS660にはありません。
そのかわりS660はもっと高級な軽と は思えぬ重厚感があります。
ライバルのコペンよりもさらに軽を意識させ ない乗り味です。
S660はホンダの久々の軽スポーツとして期待通りの出来といっておきます。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1180mm ホイールベース:2285mm/車重:850kg/駆動方式:MR/エンジン:0.66リッ ター直3 DOHC 12バルブ ターボ/トランスミッション:CVT 最高出力:64ps(47kW)/6000rpm/最大トルク:10.6kgm(104Nm)/2600rpm /タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)195/45R16 80W(ヨコハマ・アドバ ンネオバAD08R)/燃費:24.2km/リッター(JC08モード) 価格:218万円