癒し系の実力車
レガシィと言えばオヤジ世代にはツーリングワゴンのイメージが強いです が、今やその座はレヴォーグに任せて、この6代目となる新型はセダンの 「B4」と、この「アウトバック」に整理されました。
ワゴンと比べると明確にヒップポイントが高いですね。
形がワゴンでこの ヒップポイントの高さのクロスオーバーは日本にはあまり例が無いです。
輸入車ではボルボのXC70やアウディのオールロードなどがありますね。そ れらと比べると価格も随分お買い得に思えます。
乗り味が良ければかなり 気になるクルマなのです。
ではでは、逝って^^みましょう!
スタイル★★★
ボディは大きくなった先代からさらに拡大し、全長×全幅×全高=4815× 1840×1605mm、ホイールベース:2750mmという堂々たるサイズになりまし た。
レヴォーグと並べると二回りほど大きく感じます。
フロントは馬鹿デカかったライトが常識的なサイズになって少し端正な 顔立ちになりました。
前後およびサイドステップの下部はアルミのパーツでSUVらしい処理が与 えられています。
最低地上高が200ミリも取られていますが、リミテッド ではタイヤサイズが225/60R18となることもあって視覚的な不安定感はあ りません。
フォルムもまったく特徴も無い代わりに破たんもありません。
新しさは 感じませんが、意外と飽きのこないスタイルかもしれません。ち
ょっと 地味というか朴訥というか、つまりスバルらしくはあります。
内装★★
スバルは内装が下手ですね。
お金がかかっていないわけでは無さそうな のに外観以上に地味に感じます。
欧州のライバルに比べると明らかに演 出下手ですね。
基本ブラックという内装色もその印象に輪をかけているかもしれません。
標準グレードにはオプションでアイボリーも用意されていますが、そちら を選んだところで華やかさや楽しさはありません。
せっかくのSUVなのですからここはもう少し楽しませてくれてもいいと思 います。
あまりに事務的で悲しくなってしまいます。
まあ唯一贅沢な感じがするのが、ハーマンカードン製のサウンドシステム でしょうか。
レガシィと言えばマッキントッシュのイメージがあったので すが、新型では嗜好替えしたようです。
エンジン★★★
パワートレインは2.5リッター水平対向4気筒、自然吸気エンジンのみに なりました。
ターボや6気筒のは整理されました。
ミッションもリニアト ロニック(CVT)のみ。
駆動方式も全車アクティブトルクスプリットAWD (四輪駆動)です。 エンジンは静かでスムーズです。
クランクシャフト、コンロッド、オイ ルパンなどを除いて、8割のパーツを新設計したというエンジンは、水平対向に期待する音もフィールもありませんが、パワーも十分でいいエ ンジンだと思います。
急激に立ち上がるターボよりもこのアウトバックの性格にはあっていると思います。
件のCVTは低速では随分と食いつきがよくなりました。
トルク変動が少 なく下からパワーの出ているエンジンとのマッチングが良く、スムーズ に加速しますので、このアウトバックのようなクルマには特に不満の無 いレベルです。
ただこの状況は高回転では変化します。
回すとやはりCVT独特の「エンジ ン回転が先に上がって、後からスピードがついてくる」感覚が残ってい ます。
この感覚はSI DRIVEスイッチを「Iモード」「Sモード」「S♯モード」な どに変えても基本的に改善されません。
足回り★★★☆
乗り心地は実にソフトでいいですね。
この癒しの感じはボルボのXC70にも 通じるものです。
「リミテッド」には、路面状況に応じて減衰力が変わる「スタブレックス ・ライド」(KYB製)と呼ばれる可変ダンパーが採用されている効果でし ょうか。
ボディも先代比アウトバックで67%もの剛性アップが図られています。
おかげで乗り心地はとてもしなやかで、この手のSUVに必須の優しさを持 っています。
一方ハンドリングというかステアフィールは少し改善の余地があります。
比較的重めの設定はいいのですが、せっかくのその重さが正確な設置感や インフォメーションの豊かさに繋がっていません。
どこかにESP特有の不 確定要素が常に混じっている感覚です。
例えば直線から僅かにステアリングを切り込んでいく時など、既にタイヤ はコーナリングフォースを受けている段階であってもそれがステアリング に伝わるまでにかなりラグがある感じです。
総評★★★☆
全体としては非常に上質で、使いやすいいいクルマだと思います。
価格も 車格や性能を考えると輸入勢に比べて随分とリーズナブルに感じます。
日本車では他にないポジションとキャラクターのクルマというのもいいで すね。
日産ステージアAR-X FOUR無き後、日本ではちょっとライバルが思 い浮かばないですね。
惜しいのは過渡期としか思えないCVTと内外装の色気の無さですね。
Web CGのサトーさんはこのクルマをラクダと評していましたが、まさにそんな 感じですね。
確かにゆっくり走っている分にはとても快適で文句はありま せん。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4815×1840×1605mm/ ホイールベース:2750mm/車重:1550kg/駆動方式:4WD/エンジン:2.5リ ッター水平対向4 DOHC 16バルブ/トランスミッション:CVT/最高出力: 175ps(129kW)/5800rpm/最大トルク:24.0kgm(235Nm)/4000rpm タイヤ:(前)225/60R18 100V/(後)225/60R18 100V(ブリヂストン・ デューラーH/Pスポーツ)/燃費:14.6km/リッター(JC08モード) 価格:340万2000円