愛犬とお散歩気分
先週のランチアに続いてイタリア車です。業界的に大評判のツインエアです。
本当にそんなにいいの?フィアット500はデビュー時に乗ってあまりにしっかりしていて驚いたのですが、今回はどうだったのでしょうか?しっかり乗って確かめてみました。
●概要
初代フィアット500、トッポリーノ(1936~55年)は2人乗りのFR車でした。
2代目、チンクエチェント(1957~1977年)は2+2のRR、そして今回(2007~)はFFですからレイアウトは全て変わっています。
時代によってミニマム・トランスポーターの理想的コンストラクションが変わるのも面白いですね。
2008年には欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
レトロルックで
すが、中身はモダンです。エアバッグもこのクラスで初の7個(前席フロント
×2、前席サイド×2、前席ウインド×2、運転席ニー×1)を標準装備し、Euro
NCAPでも5つ星を獲得しています。
モデルはアバルトなども含めると非常に多いのでツインエアに話を絞りますと、ルーフが3種、ノーマルとサンルーフ、ソフトトップのCです。
価格はそれぞれ215万、245万、279万となっています。
エンジンを含めて全てフィアットのポーランドのティヒ工場製。
このツインエアは3月に追加されました。
スタイル★★★★★
復刻系ですが、上手い按配ですね。レトロモダンのテイストですが、とてもモダンな感じもします。
全長3545mm×全幅1625mm×全高1515mmというサイズは、パンダとほぼ同じで2300mmのホイールベースも共通です。
方や直線基調のスクエアなデザイン(ジウジアーロ)で、こちらは曲線的なデザイン(フィアットスタイルセンター)ですがどちらも見事です。
これだけ可愛いのに安っぽくもないし大人の男性が乗ってもおかしくないというのはなかなか出来そうでできないものだと思います。
内装★★★★
内装がこれまた最高です。
この質感の高さは何なのでしょう!
昨今の国産車の安っぽさと比べるとなんともやりきれないぐらいの出来です。
特にシートがいいですね。
ザックリした風合いのファブリック生地はチェックの色使いといいとてもお洒落です。
ソフトながら芯のある座り心地、適度なホールド感、フレームの剛性感など文句無しです。
キャラ的にも革シートより似合っています。
ただポジションは少し気になります。
ステアリングが遠い典型的なイタリアンポジションです。
チルトはありますがテレスコが無いので、シートを立てて対応するしかありません。
エンジン★★★★
最新のダウンサイジング・ターボ・コンセプトのエンジンですね。
2気筒とすることでフリクションロス、ポンピングロスの軽減を狙っています。
ネガの部分は最新のテクノロジーで対応しています。
アルファの「ミト」に搭載されたスロットルバルブを使わない電磁油圧式の吸気バルブ開閉システム「マルチエア」を採用しています。
これは吸気バルブの開閉制御のみで吸気量をコントロールすることで燃費を軽減するシステムです。
特有の振動に関してはカウンターバランスシャフトの採用で対処、アイドリングストップも装備しています。
今年2011年5月には、自動車エンジン分野の評価で権威のある「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」の総合最優秀賞を受賞し、さらに部門別でも1000cc未満、ベストニューエンジン、ベストグリーンを受賞するなど、非常に高く評価されているエンジンです。
実際、パワーに不足はありません。排気量が信じられないほどトルクフルです。
高いギアをキープしトコトコと走る感じはなかなか牧歌的で楽しいです。
マルチをぶん回す楽しさとは正反対の効率的に転がす感覚があります。
振動もマイルドで、特にスタート時の「タッタッタッ」という感じはツイン・エンジンのバイクの様でもありクルマ好きを愉しませます。
また回せば「ギューン」と急に振動のバランスが取れてきてスムーズに回転を上げます。
このジキルとハイドというか2面性も味がありますね。
まだ新車で当たりが付いていないお感じはありましたが、もっと良くなりそうな感じもありました。
そういう味さえある育てがいのあるエンジンです。
ミッションはデュアロジックと呼ばれるシングルクラッチの2ペダルATです。確かにシフトアップ時のラグが気になりますが、このダイレクトで効率的な加速を知ると、トルコンは望みません。むしろイプシロンのツインエアでは用意されるマニュアルが無いのが残念です。
将来的には直墳化や電気モーターを組み合わせたハイブリッドも開発中のようです。
足回り★★★★
このイタリア者特有と言うか、しっかりと突っ張っているのに辺りの優しい感じは何なのでしょう!
ボディ剛性の高さも聞いていますが乗り心地はとてもいいです。
ホイールベースを考えるとピッチングも少なく、飛ばしても安心です。
例えば、荒れた路面をハイスピードで通過しても、余裕を持ってストロークしボディをフラットに保とうとします。
足回りの取り付け剛性の高さを十分に感じさせてくれます。
全長に対して幅が相対的に広い事もあってコーナリングもまったく不安がありません。
昔と違いハイスピードを担保しなくてはいけませんから、こまねずみのように軽快とはいきませんが、高速での安心感はパンダとは比較にならないほどで、レトロ風の概観とは裏腹に設計年度の新しさを感じます。
総評★★★★
単なるレトロなファンカーと侮ってはいけません。
最新のエコカーです。
そして最も楽しく愛せるエコカーです。
同じレトロでもどこか真面目さの残るMINIよりずっと楽しいです。
先週のデルタに続き本気で買いたいぐらいのクルマです。
だってこれほど味の濃いクルマはなかなかありません。
しかもこの価格でモノとしても長く大切にしたくなるほどの品質感とデザインを持っています。
実際非常に良く売れています。このクルマを前にクルマ離れ、クルマを諦めるなんてありえません。
最近のクルマは面白くないと感じている人はぜひとも試乗してみることをオススメします。
スペック:全長×全幅×全高=3545×1625×1515mm/ホイールベース=2300mm/車重=990kg/駆動方式=FF/0.9リッター直2ツインエア8バルブターボ(85ps/5500rpm、14.8kgm/1900rpm)価格=245万円
(※この記事は2011年9月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し遅れで配信しています。)